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虎の巻編 まめ知識

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『校歌』の著作権って…?

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学校の『校歌』には著作権があるのでしょうか?あります(ただし、作者が亡くなって50年を経過していれば著作権は消滅しています。)
『校歌』の著作権は誰がもっているのでしょうか?学校の歌だからといって、その学校が著作権をもっているわけではありません。
歌詞の著作権は作詞をした人、メロディの著作権は作曲をした人がもっています。ただし、著作権という権利を人に譲渡することも可能なので、作詞家・作曲家自身がその作品の著作権を必ずもっているとは限りません。プロの作詞家・作曲家の場合、自分が作った作品の著作権を団体に預けている場合が多いので、そのような場合には、権利を預かっている団体が著作権者だということになります。

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『版権』って何?

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『版権』とは、現在の法令では用いられていない用語です。
明治時代には「版権条例」という法律があり、『版権』という言葉が用いられていました。そこでは、版を用いて印刷物を発行することについて、政府が出版者に免許を与える制度が採られ、出版者が出版物に「版権所有」という記載をして権利を主張する仕組みになっていました。
現在の著作権法は著作者に権利を認めて保護する法律であり、出版者固有の権利は認められていませんが、このような歴史的な事実に基づき、慣習的に著作権のことを『版権』と呼び、契約書などでもこの語を用いている例もあるようです。
当事者間で誤解が生じなければ問題はありませんが、『版権』が何を指しているのかをお互いに明確にしておく方がよいでしょう。

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著作権の登録とは?

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特許権は、発明者が特許庁に出願し、公開手続や審査手続を経て特許庁の登録原簿に登録されたときに、その発明を独占的に実施する権利として発生します。しかし、著作権という権利は、著作物が創作されたときに自動的にその著作者に対して発生しますので、特許権の出願のような権利を取得するための手続きはありません。つまり、登録がなければ権利を主張できないというものではありません。
ただし、特許権の出願・登録制度とは異なる目的の登録制度が著作権制度にはあります。

『実名の登録』:匿名で公表された著作物について、その著作者の実名(本名)を登録する制度。匿名で公表された著作物の保護期間は、公表後50年を経過するまでの間ですが、この登録を受けることにより、登録された著作者の死後50年後までに延長される効果があります。
『第一発行年月日、第一公表年月日の登録』:その著作物が最初に発行(又は公表)された日付を登録する制度。この登録を受けることにより、最初の発行日(又は公表日)を保護期間の起算点とする著作物について、その日が明らかになります。
『著作権の変動に関する登録』:権利の変動につき第三者に対抗するための制度。著作権を譲渡したり、著作権を目的として質権を設定したりすることができますが、仮に二重譲渡などがあった場合、どちらが正当な譲受人かについて紛争が生じることがあります。この登録を受けることにより権利の譲渡や質権の設定等について第三者に対抗することができます。

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授業のためにテレビ番組を録画することは?

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著作権法第35条の例外規定は、授業の中で児童生徒にプリント教材を配布することが典型例ですが、この規定の要件を満たせば、テレビ番組を録画して授業の過程で児童生徒に視聴させることも可能です。
その要件は、①学校その他の教育機関において、②教育を担当する者及び授業を受ける者は、③授業の過程において使用することを目的とする場合には、④必要と認められる限度において、著作物を複製することができるということになっています。
したがって、例えば、教科書に掲載されている教材に関連のある映像資料としてテレビ番組を録画して、授業中に視聴させることについては著作権者の許諾を得ずに行えます。
なお、③の要件から考えると、授業で使う(教室で視聴する)ためにビデオテープなどに録画することが認められているので、例えば希望者が自由に視聴できるように貸し出すためというような授業以外の目的に使用する場合には、無断で録画してもよいことにはなりません。また、上記の要件の後に、「著作権者の利益を不当に害することとなるような複製は無断ではできない」というただし書きも規定されているので、録画した1本のビデオを授業中に全員に視聴させればよいにもかかわらず、クラスの人数分のビデオテープにコピーして配布するような方法の場合には、例外規定の範囲を超えると判断される可能性もあるでしょう。
学校教育現場では他人の著作物を許諾なく利用できる場合が多いのですが、学校だからまったく自由に使えるというわけではないので、注意が必要です。

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著作物を利用するときの契約はどうすればいい?

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他人の著作物を利用する場合に、その著作権者に許諾を申し入れて承諾を得ることは契約です。
一般論では、契約はその当事者の合意があれば、必ずしも書面にする必要はありません。
しかし、著作権は目に見えないものを対象とした権利なので、「使ってもいい」という口約束をしただけでは、お互いにそんなつもりはなかったということがありがちです。
そのため、何を、いつ、どのような方法で利用したいのかを書面で明らかにしておく方がよいといわれています。特に、「どのような方法で」については、単に「利用したい」というだけでなく、複製なのか、演奏なのか、インターネットを通じた送信なのかといった権利の内容を明確にしておくことが必要です。
また、場合によっては、許諾の対価としていわゆる著作権料を支払うという条件を付すこともありますので、どのような計算方法により著作権料を算定するのかについても明確にしておく必要も生じるでしょう。
文化庁のホームページには、簡単に契約書が作成できるシステムがありますので、試してみてください。
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/keiyaku_intro/index.html

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著作権に関する情報はどこで入手できる?

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著作権に関するトラブルに巻き込まれた場合には、法律の専門家である弁護士に相談した方がよいですが、日常生活の中で著作権について疑問が生じた場合には、費用をかけずに調べる方法がいくつかあります。
文化庁のホームページでは、著作権に関する解説が掲載されており、研修用のテキストもダウンロードできます。学校などで活用できる教材や、Q&Aサイトも用意されています。
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/index.html
また、公益社団法人 著作権情報センターでは、各種の無償の解説パンフレットや無償貸し出しビデオなどが用意されているほか、電話や面談で著作権に関する相談に応じる「著作権相談室」が設けられています。
http://www.cric.or.jp/

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著作権制度を所管している役所は?

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著作権法に関する業務を行っているのは文化庁(著作権課)です。県庁や市役所などの文化行政担当課でも照会や相談に応じてくれる場合もありますが、著作権に関する行政の権限が地方公共団体に委譲されているものではないので、同制度を所管しているのは文化庁だけです。
なお、特許権、実用新案権、商標権、意匠権などの産業財産権については特許庁が所管しており、植物新品種に係る育成者権については農林水産省が所管しています。

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『肖像権』って…?

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『肖像権』とは、日本の法律で明文化されたものではありません。
裁判例の蓄積によって確立されつつある権利です。
裁判例では、基本的人権の一つとして「みだりに自己の容貌や容姿を撮影されない権利」という考え方が認められたり、著名人の場合、「その氏名や肖像等を商業的に使用する場合に、氏名・肖像から生じる経済的利益ないし価値を排他的に支配する権利(パブリシティの権利といわれます)」が認められたりしています。
これらは、著作者の権利の「著作者人格権」や「(財産権としての)著作権」とよく似た考え方ですが、著作権制度とは関係がありません。
しかし、著名人であれ一般市民であれ、肖像権が認められる事例は多いので、肖像の利用をする場合には本人の了解を得るという考え方は定着しつつあるといえます。

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著作権侵害は親告罪だということは、訴えられなければ責任はないの?

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「親告罪」とは被害者の告訴がなければ公訴の提起をすることができない罪のことで、著作権侵害の罪も親告罪です。したがって、他人の著作物を無断で利用した場合でも、被害者の告訴がなければ刑事責任を問われることがないということです。
しかし、告訴なしに責任を問われないのは「刑事責任」であって、著作権侵害によって損害が生じた場合の損害賠償などの「民事責任」までが問われなくなるものではありません。
たとえ著作権侵害行為によって利益を上げなかったとしても、著作権者の利益が損なわれてしまう場合は多く、告訴がされなかったとしても民事責任が問われる可能性は残ります。

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罰則がない行為は、「できればしない方がいい」という意味?

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著作権を侵害する行為の中には罰則が規定されていないものもあります。
罰則を科すことによって適正な利用を担保しなければならないほどの行為ではないという考え方によるものと思われますが、権利侵害であることに変わりはなく、その行為によって損害が生じた場合には、損害賠償の請求を受けたり、侵害行為の差し止めを求められたりすることもあります。
無断で利用してはいけないということは、単なる訓示規定ではなく、あくまでも権利侵害の責任を負う行為と考えるべきでしょう。

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『著作権フリー(コピライトフリー)』って著作権がないということ?

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『著作権フリー(コピライトフリー)』という言葉は明確に定義されたものではありませんが、「いちいち著作権者の許諾を得ずに利用しても構わない(つまり著作権者があらかじめ包括的に一定の利用方法について許諾している)」とか、「著作権料が無料で使える」という意味で用いられていることが多いようです。
他方、著作権者自身がその権利を放棄する(著作権を一切行使しない)と宣言しているようなものもあります。
「包括的な許諾」や「著作権料が無料」ということと「権利主張を一切しない」ということとはずいぶん意味が異なりますので、安易に「著作権がない」と判断しない方がよいでしょう。

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